「恋愛は野の鳥と同じで、追うと逃げるが、素知らぬふりをして歩いていると向こうからついてくる」
確か外国の詩人の言葉だったと思うが、恋愛の本質を鋭くついたフレーズだ。
恋愛をするうえで、この一言は常に胸に刻んでおくべきである。
誰かを一方的に好きになると、その人のことが四六時中頭を離れず、心のすべてを覆い尽くすようになってくる。
仕事も手につかない。食事がのどを通らないなんてことも当然だ。
何とかして振り向いてもらいたい。心を向けてもらいたい。そして、出来ることならば相手にも好きと思ってもらいたい。
こうした想いにとらわれると、日頃冷静な人でも、理性はいとも簡単に吹き飛んでしまう。
だから、しつこくすると相手が引いてしまうということを、頭では理解していてもついつい忘れてしまい、深追いしてしまう。
相手が偶然にも自分に好意を持っていたという、ラッキーなケースがないわけではないが、一般的に深追いした段階で完全に負けである。
ストーカー張りに追い求めだした時点から、相手は及び腰になっていると認識すべきだ。
ふたりきりで逢ったこともないのに、手編みのマフラーを贈るなんてことは愚の骨頂なのである。
では誰かを一方的に好きになり、好きで好きでたまらないという恋愛感情にとらわれたとき、どうすべきなのだろうか?
残すのは「手がかり」のみ
それはずばり、怪盗ルパンになればいいのだ。
犯行現場に指紋をべったりとは残さないが、かすかな痕跡だけを残すのである。
やり過ぎは禁物だが、自分の存在をアピールしなければ何も始まらないのもまた事実。
「私はここにいるのよ」「見て」という姿勢は示すべきだろう。
しかし、明らかな恋愛感情を漂わせてはいけない。あくまで匂わすのは好意のみ。
例えば、バレンタインデーに渡すのであれば、さりげないけれど気の利いたチョコレート。海外のお土産を渡すとしたら、ほかの友人と同等にボールペンを渡すべきで、決してネクタイや男性用コロンなど張り込んだものを渡してはいけない。
しかし、痕跡として残る何かは必ず添えるべきだ。
暗号のような一言を、一筆として添えるといったふうに。
もう一度言おう。
シンデレラが王子様のお城の階段に、片方の靴を残していったように、手がかりのみを残すのだ。
後は、相手がどういうつもりなんだろうと思い始めてくれたら、しめたものである。
相手の反応を確かめながら、じわじわとこちらに引き寄せていくのが秘訣であって、最初から「好きよ、好きよ」と迫りまくるのは、お子様の手口にすぎないのだ。
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南美希子プロフィール
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南 美希子
司会者、エッセイスト。
東京生まれ。
元祖女子アナ。
聖心女子大学3年生のときアナウンサー試験に合格。
テレビ朝日のアナウンサーを経て独立。
田中康夫氏との「OHエルくらぶ」、三宅裕司氏との「EXテレビ」などで司会をつとめる。
光文社のJJに「お嫁に行くまでの女磨き」、VERYに「40歳からの子育て」を長年にわたって連載し、熱烈な支持を受ける。
現在もワイドショーのコメンテーターやシンポジウムのコーディネーター、トークショー、講演、執筆などで活躍中。
化粧品「フォークイーンズ」の開発や美容医療情報のフリーマガジン「MITAME」の編集長もつとめる。
講談社「グラマラス」では「LOVE握力」というタイトルのブログエッセイを連載中。
近著に「オバサンになりたくない!」「美女のナイショの毛の話」(ともに幻冬舎文庫)がある。
●恋愛・美容エッセイスト|南美希子オフィシャルフェイスブックページ
Written by 南美希子
Photo by Prairiekittin