結婚。それは好きな人と一生一緒にいられる制度であるとともに、「人生の墓場」と揶揄されるように、結婚した瞬間にほかのすべての可能性が閉じるような、閉塞感もともなう制度であると、これまでは考えられてきました。
 
結婚したら、配偶者以外の人とは恋愛感情ももたないし、セックスもしない、それが正しい結婚の在り方であるとされてきたのです。
 
けれど、それが本当に正しい結婚の形なのでしょうか? 結婚したら、その後、一生他の人と恋愛しないなんてありえるのでしょうか?
 

他の人とセックスしてもいいオープン・マリッジ

 

「オープン・マリッジ」とは、配偶者以外との性的な関係に対して、お互い合意している結婚のかたちのことです。
 
「結婚=性的な使用権を配偶者に渡す制度」に反対し、アメリカの社会学者であるオニール夫妻が、性的に独立した個人を認め合う結婚のスタイルとして提唱したことで、世間に広く認知されるよになりました。オープン・マリッジの意義について記した書籍『オープン・マリッジ』(1973年)が発売されると、150万部というベストセラーになり、新しい結婚のかたちは一大ムーブメントを巻き起こしました。
 
70年代に流行ったこのオープン・マリッジという概念は、単なる過去の流行というわけではありません。
 
現在でもオープン・マリッジを公言している人たちは存在しており、不倫が珍しくもなくなっている現代だからこそ、新しい可能性を秘めた結婚の形だと再び注目を集めています。
 
オープン・マリッジを実行している夫婦において、不倫という概念はありえません。結婚生活の外にも愛する人がいると言うだけの話であって、なんら責められることではないのです。

オープン・マリッジは高度な結婚のかたち

 

ただし、オープン・マリッジの実践には高いハードルがあることも確かです。オープン・マリッジはお互い信頼し合っていなければ実践できません。
 
お互いを信頼しきっており、「独占したい」という気持ちが起こらないほどのステージにいなければ、配偶者が自分以外の誰かとデートをしたりセックスしたりなんてことは許せないでしょう。
 
作家の中村うさぎさんは、ゲイの男性と結婚し、「恋人は家庭の外で作る」と決めていたといいます。これは夫婦間に性的な関係がない極端な例ですが、「夫婦として信頼し合っており、性的所有権を主張しない」という意味では、オープン・マリッジのひとつの形だと言えるかもしれません。
 
「お互いを恋愛対象としない結婚のかたち」も「性的関係はあり、夫婦間以外の性的関係も認める結婚のかたち」も、どちらも強固な信頼関係無くしては続けていくことは難しいでしょう。
 
オープン・マリッジは、まだまだ「性的に奔放な人が不倫したいためにとる結婚のかたち」といった偏見にさらされることも多いため、公言している人はあまり多くはありません。
 
また、オープン・マリッジにチャレンジしたために夫婦関係が壊れてしまった、という話も聞きます。
 
オープン・マリッジは、お互いの性的自立を認め合う素晴らしい制度のようにも見えますが、オープンな関係を維持するためには、常に対話を絶やさず、お互いを信頼し尊敬しあうという努力が不可欠ですから、かなり高度な結婚生活の形であると言えるでしょう。
 
(今来 今/ライター)
 
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