愛とは特定の相手に対する強烈な執着である。
執着とはときに狂気さえもはらんでいて、普段は穏やかで理性的な人間でも、ともすると空恐ろしいほどの執着を発揮するものである。
そのなれの果てがストーカー行為である。

 

恋に落ちた瞬間から人は嫉妬の罠にハマる

 

執着と嫉妬は背中合わせの存在であって、たとえ健康的な執着であっても、いったん人を
本気で愛すると人は嫉妬の呪縛から逃れることはできない。

つまり、恋に落ちた瞬間から人は嫉妬の罠にはまるのである。
裏返せば嫉妬を伴わない恋愛は本物の恋ではないのであって、カレが誰かほかの女性のことを何気なく褒めただけでも、心の中で嫉妬の炎に火が点火されるのである。

そんなわけだか、よしんばカレに浮気の痕跡が現れたときは嫉妬の炎はメラメラと燃えさかり、この地球を燃え尽くしてしまうのではないかと思うほど、激しく勢いづくのである。

そう、まずはこの原理原則を知っておくことが大切なのである。
そうすれば、それをコントロールする術もおのずとみつかるかもしれない。

ところで、嫉妬とは恐ろしいもので、時々とんでもない妄想を引き起こす。
そして悪いことに、自分の中に目覚めた妄想がさらに嫉妬の火を勢いづかせるのである。

例えば、カレからの電話が1日途切れたとしよう。
一日も欠かすことなくかかってきたおやすみのラブコールがない夜は、誰だってとてつもない不安に陥るものである。

何度電話してもメールをしても返信がない。
これはおかしい。
きっと、だれか他のオンナと過ごしているに違いない……。
もしかしたら、ベッドしている最中かもしれない……。

そう想像しただけで、たまらなく不安になる。
そして仮想の敵を作り、その仮想の敵であるオンナにとてつもなく嫉妬するのである。

そう考えただけで、心の中に黒々とした雲がモクモクと立ち込め、表情が曇り、自分の中から優しさと柔らかさと美しさが消えていく。

何度も何度もしつこいほど電話やメールを送り続ける。
或いは、一日あけてカレから電話があったとしよう。

妄想にかられたあなたの第一声は自ずとものすごい剣幕での、「浮気していたのね!」という一言になってしまうのである。

「いやあ、よっぱらっちゃってケータイ落としちゃってさあ……、ホントひどい目にあっちゃった。ずっと君の声が聞きたかったんだよ」

この一言をまずあなたに伝えたかったカレは、あなたのものすごい剣幕に驚いて、思わず売り言葉に買い言葉。

「なんだって! 俺がどんなに苦労してたか、わかんないのかよ!」

思いがけない衝突を引き起こし、いつしか恋愛は不幸な方向に向かっていく。
たとえカレが嘘をついたとしても、男の人は可愛く騙されてくれる女性を選ぶもので、常にカリカリ嫉妬の炎を燃やすオンナだけは勘弁というのがオトコの本音なのである。

 

賢い女は嫉妬すらも恋のスパイスに変換

 

こんなふうに、嫉妬の余り自分で自分の首を絞めるという愚だけはおかしてはならない。

賢明な女はどこか自分の誇りと余裕というものを忘れず、間違っても妄想の嫉妬にはかられてはいけないということを知っているし、また嫉妬を恋のスパイスにするすべさえも身につけているのである。

 

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南美希子プロフィール

 


南 美希子
司会者、エッセイスト。
東京生まれ。
元祖女子アナ。
聖心女子大学3年生のときアナウンサー試験に合格。
テレビ朝日のアナウンサーを経て独立。
田中康夫氏との「OHエルくらぶ」、三宅裕司氏との「EXテレビ」などで司会をつとめる。
光文社のJJに「お嫁に行くまでの女磨き」、VERYに「40歳からの子育て」を長年にわたって連載し、熱烈な支持を受ける。
現在もワイドショーのコメンテーターやシンポジウムのコーディネーター、トークショー、講演、執筆などで活躍中。
化粧品「フォークイーンズ」の開発や美容医療情報のフリーマガジン「MITAME」の編集長もつとめる。
講談社「グラマラス」では「LOVE握力」というタイトルのブログエッセイを連載中。
近著に「オバサンになりたくない!」「美女のナイショの毛の話」(ともに幻冬舎文庫)がある。

恋愛・美容エッセイスト|南美希子オフィシャルフェイスブックページ
Written by 南美希子
Photo by SAOTOME 早乙女 英雄

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