安倍首相の経済政策「アベノミクス」の成長戦略の一つとして、「限定正社員」制度の推進が検討されています。
これによって子育て中の女性や雇用の得られない若者などが働きやすくなると期待されているのですが、限定正社員とはいったいなんなのでしょうか?
働く女性にとってのメリットをご紹介します。
限定正社員の女性にとってのメリットとは
限定正社員とは、簡単に言えば「職種」や「職場」や「時間」を限定して雇用契約を結ぶ正社員の立場を指します。
現在でも大企業や銀行などで一部導入されている制度ですが、これがどのように女性にとって働きやすいのでしょうか?
●その1:転勤しないで済む
正社員同士が結婚すると、双方に転勤の可能性があり、結果として出産や子育てが難しくなってしまうという現実があります。
また、子どもが小さいときに転勤が絡むと、育児サポート等の問題で仕事を続けにくくなってしまう可能性もあります。
この期間のみ転勤なし、とすることができれば、生活設計が立てやすくなります。
●その2:職種を限定することでキャリアを積むことができる
正社員は、会社の都合で職種を変更せざるを得ない可能性があります。
しかし、限定正社員で職種を限定すれば、職種変更による負担もなくなり、同じ仕事で専門性を高めることができます。
●その3:産後の社会復帰にキャリアを生かせる
出産により一度離職した女性は、その後仕事に復帰したくてもパートなど非正規労働を選ばざるを得ない場合が多く、時給制でシフトも不安定な上、職種も限られてしまいます。
限定正社員で無理のない働き方を選ぶことができれば、これまでのキャリアを生かして安定したポジションで働くことができるのです。
限定正社員制度で企業側にもメリットあり!
この限定正社員制度は、企業にとってもメリットがあります。
2007年にユニクロが、フルタイムの非正社員の2割(5,000人)を店長まで昇格可能な「地域限定正社員」に登用する、と発表して大きな話題を呼びました。
ユニクロでは以前から能力の高いパートやアルバイトを正社員に登用してきましたが、正社員を断る人も多く、この制度を導入に至ったのです。
結果、人件費負担は増えたものの、定着率が大幅に向上し、ベテラン社員の増加によって作業効率も改善されるなどの効果が現れたのだそう。
非正規雇用を減らして正規雇用を増やせるか?
政府は、結婚や出産・介護などライフスタイルの変更に合わせて、正社員から限定性社員に、また限定性社員から正社員に、とフレキシブルな変更を容易にすることを提唱しています。
例えば子育て中の女性が限定性社員になり、また子どもの手が離れれば正社員になるというイメージです。
これは、一見なかなか良い制度のように思えるのではないでしょうか。
しかし、これがうまく機能するかはいまだ不明瞭な点もあります。
「非正社員を減らして正社員の雇用を促進したい」という政府の目的と逆に作用してしまうと、正社員を減らして限定正社員を増やすことで給料を減らす会社も出てくるかもしれません。
さらに、経費の高い社員に無理な転勤などを与え、限定正社員に変更せざるを得ないようしむける……といったパワハラ的な使い方をされる可能性もあるかもしれません。
メリット・デメリットも含め、みなさんはこの制度、どう思いますか?
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Written by 杉本レン
Photo by Ambro