ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが、乳がん発症を避けるために、両乳房の乳腺を切除したという告白が話題となっています。
乳腺とは、母乳を作る働きをもっている部分。また、乳がんが発症する部位でもあります。
その乳腺を切除するということは、乳房の中身の大部分を切除することになるのです。
まだ、“がん”になっていない健康な乳房を切除したという話に、驚きを隠せない人も多かったのではないでしょうか。
しかし、この「予防的乳房切除」、日本ではまだ一般的ではありませんが、アメリカではすでに10年以上の歴史がある処置。
今後、日本でも“乳がん予防”対策の1つになる可能性のある「予防的乳房切除」についてご紹介します。
アメリカでの「予防的乳房切除」の現状
米国では、BRCA1・BRCA2と呼ばれる遺伝子に変異があり、乳がんが発症しやすいと分かっている女性が、予防のために行う予防的乳房切除。
この遺伝子の変異は、乳がんと卵巣がんのリスク増加に関係しているもので、BRCA1変異保有者の乳がん発症の生涯リスクは47〜66%、BRCA2変異保有者の生涯リスクは40〜57%であると言われています。
さらに、米国医学界雑誌に掲載された報告によると、予防的な乳房切除術を受けた247人と、受けなかった1372人を平均3年間追跡したところ、前者は乳がん発症ゼロに対し、後者は7%(98人)が乳がんと診断されたとのこと。
こういった実績があるからこそ、アメリカでは乳がん予防に対する重要性や必要性が広く認知されているのかもしれませんね。
「予防的乳房切除」にはデメリットもある!
予防的乳房切を行う最大のメリットは“乳がんになる可能性が低くなる”こと。
しかし、良いことだけではありません。乳房を切除することによって起こるデメリットをご紹介します。
●その1:母乳が出なくなる
母乳を作っているのは“乳腺”。その乳腺を切除するとなると、当然母乳が出なくなってしまいます。出産前の女性にとっては、かなり抵抗を感じるデメリットの1つでしょう。
●その2:人工物を入れることによる感染症のリスク
乳房を切除した後は、人工物を入れて乳房再建を行います。この人工物が原因で、感染症を起こす可能性があり、人工物を取り出さないと感染が治まらないことが多いと言われています。
●その3:費用が高い
アメリカも日本も同様、遺伝子検査と切除手術は非常に高額で、保険が適用されません。
遺伝子検査は、血液を7ml採取するだけで、1か月後に検査結果が分かるという簡単なものですが、日本では20〜25万円ほどかかります。
また、手術に関しても150万円〜200万円ほどの費用がかかってしまいます。
乳がん予防のための新たな選択肢に
健康なうちに両方の乳房を切除してしまうことは、女性にとっては大きな決断です。
しかし、乳がんになる可能性が高いと分かっているのであれば、予防したいと思う人は多いはず。
日本では、まだまだ一般的ではなく、症例数も少ないのが現状ですが、今後増えていく可能性は高いでしょう。
実際、新たに都内の2病院が予防的乳房切除を実施する準備に入ったと伝えられています。
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Written by きつたなお
Photo by Little_Li