日本には昔から、言葉には霊的な力が宿るという信仰、いわゆる言霊信仰があります。
声に出した言葉が現実の事象に対して、何らかの影響を与えると信じられてきたのです。
一見すると非科学的に思える考え方ですが、あながちそうとも言えません。
言霊のメカニズムを、科学的な観点から解説しましょう。
「口に出したことは現実になる」は本当だった!
「口に出したことは現実になる」という文言は、多くの自己啓発書などに見受けられるため、うさん臭さを感じるかたも多いかもしれません。
しかし、実はこれ、心理学や社会学の世界ではすでに常識となっている考えかたなのです。
2つの学説から、そのメカニズムを解き明かしてみましょう。
●その1:ラベリングとピグマリオン効果
「信じる者は救われる」といいますが、そのポジティブな発想は、心理学的に正しいとされています。
ドイツ出身の心理学者、ローゼンタールは、小学生の名簿を見ながら何人かをランダムに指差し「この子は将来、天才になります」と、担任教師にデマを吹き込む実験をしました。
すると一年後、驚くべきことにローゼンタールが指名した生徒の成績は、ほかの生徒に比べ圧倒的に上がったのです。
これは、指名された生徒に対して期待を持った教師が、毎日少しずつではあるが特別な扱いをしたために起こった現象。
つまり、期待する側の実質的なグッドアクションが、良い結果をもたらしたのです。
このように、ある個人や集団に対してレッテルを貼ることを「ラベリング」といい、良いラベリングによって良い結果をもたらす現象を「ピグマリオン効果」といいます。
恋愛や仕事にも応用できるテクニックなので、ひとに対しては日常的にポジティブなラベリングをするようにしたいですね。
●その2:予言の自己成就
フランスの人類学者レヴィ=ストロースは、呪術のメカニズムを研究し、それが叶うためには、呪われたものの「もうダメだ」という絶望、呪術師の「絶対に死ぬ」という自信、そして周囲の人間の「あいつはもう死ぬ」という確信が必要だとしました。
呪術を信じている社会では、周囲の人間は呪われたものを恐れて近づかなくなり、彼の孤独と恐怖は絶対的なものになります。
その結果、自律神経に変調をきたし、最後には本当に死んでしまうのです。
そして、呪術師と周囲の人間は、さらに呪術への確信を深め、つぎの犠牲者を生み出しやすくするという悪循環が生まれます。
これは、呪術がきくとだれもが信じて相互作用した結果であり、だれかが信じなければ起こりえなかったはずです。
このように、ある言動が社会の相互作用によって現実になることを「予言の自己成就」といいます。
SNSなどでデマが拡散しやすくなった現代、予言の自己成就はさらに起こりやすくなる危険性があります。
信じることも大切ですが、怪しげな情報に対しては疑う勇気を持つことも忘れないようにしたいものです。
言葉には力がある
2つの学説から、発した言葉が良くも悪くも現実に作用することがおわかり頂けたと思います。
スピリチュアルな話ではなく、言葉には大きな力があるのです。
しかし、気を付けなければいけないのは、ポジティブな発言をしたからといって、それが必ずしも良い結果をもたらすわけではないということ。
インターネットの普及で異なる価値観が見えやすくなった結果、よかれと思って発信したポジティブ発言が、炎上につながることだってあります。
昔から言うように「口は災いの門」です。
誰もが気軽に発信できるようになった今だからこそ、しっかりと言葉を吟味し、良い結果をもたらす発言ができるように心がけたいですね。
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Written by マツタヒロノリ