普段は誰も自分を気遣ってくれないのに、体調が悪いとみんなが「大丈夫?」と声をかけてくれる。そんなときふと「いつも病気だったらいいのに」と思ってしまうことはありませんか? 実は、そんな気持ちの奥に心の病が潜んでいる場合があるのです。
女性がかかりやすいと言われている『ミュンヒハウゼン症候群』について、臨床心理士・石川裕理先生に解説していただきました。
「悲劇のヒロイン願望」に潜む心の病気
もしもこんなことを考えているかたがいたら、『ミュンヒハウゼン症候群』の前兆かもしれません。
●自分に関心を持ってくれるひとなんていない、と思う
●自分はいてもいなくてもいいんじゃないか、と思う
●風邪などで体調が悪い時、ひそかに「実は重い病気だといいな」と思い、ネットで症状を調べまくってしまう
●入院したひとの話を聞くと、猛烈にうやらましくなる
臨床心理士・石川裕理先生によると『ミュンヒハウゼン症候群』とは、周囲の関心や同情を引くため、あるいは赤ちゃんのように周囲から世話されたいために、自分で自分を傷つけたり、少しの不調を大げさに医師に訴え、検査結果が悪く出るよう細工をしたりする虚偽性障害の一種。患者は「自分に注目して欲しい、あるいは自分を心配してほしい」という心理状態にあると言います。
1951年にイギリスの医師によって発見され、「ほら吹き男爵」の異名を持ったドイツ貴族ミュンヒハウゼン男爵にちなんで命名されています。
例えば、仮病を使って会社を休むという行為は「仕事に行きたくない」という目的があるので、この病気と関係ありません。ミュンヒハウゼン症候群の患者は、病気になることで周囲の同情をかったり、懸命に病気と闘っている姿をアピールすることで「頑張ってるね」と周囲に認められ、褒められたいという目的のために虚偽を繰り返すのです。
実際にあった症例では、風呂の水を注射器で自分に注入したり、薬物を大量に飲んだりと、本当に健康を害する行為をしてしまうことも。ただのかまってちゃんでは済まされません。
さらに、この病気に関連して「代理ミュンヒハウゼン症候群」という症例で有名になった事件があります。
2008年に京都で、母親が入院中の1歳10カ月の娘の点滴チューブに腐ったスポーツドリンクを混入したという衝撃的な事件がありました。さらに、この母親の3人の子どもがこれまで病院で病死していたそうです。
母親はずっと“病気の娘を看病する献身的な母親”でいたかったのだと語りました。入院を継続してもらうには、子どもが病気であり続けなければならなかったわけです。なんて悲しい事件でしょう。
悲劇のヒロインに憧れる女性たち
ミュンヒハウゼン症候群も、代理ミュンヒハウゼン症候群も、患者は圧倒的に女性が多いとの報告があります。悲劇の主人公に憧れる女性が多いのも関係しているかもしれませんね。
この病気は虚偽が証明されなければ発覚しないため、判断が難しく、実際にはかくれ患者や予備軍はたくさんいると言われています。
仕事で疲れたり、ストレスを受け続けると、「いっそ病気になって倒れてしまいたい」と思うことは誰でもあるものです。ですが、ウソを付いて病気と偽り、それを証明するために自ら身体を傷つけるようなことがあれば、一度精神科でご相談くださいね。
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(参考)
【Medicine net.com】http://www.medterms.com/script/main/art.asp?articlekey=5652
【Answers.com】
http://www.answers.com/topic/munchausen-syndrome
(取材)『石川裕理 心理相談室』臨床心理士・石川裕理先生
http://www.ishikawa-ss.net/
パーソナリティ障害の治療を中心とする精神科クリニックに10年以上勤務。その後、面接・電話・スカイプ・出張などで心理カウンセリングをする『石川裕理 心理相談室』を開設。得意分野は、夫婦・男女関係、職場での人間関係などの改善。
「自分ではもうどうにもできない」と感じているひとに対し、「問題のリフレーム」(問題の枠組みを外すこと)で、まったく別の解釈で問題解消を図るカウンセリング技法で、高い評価を得ている。
Written by 杉本レン
Photo by il_Morta