近年の研究によって、親から受け継ぐ「遺伝子」が、身体的な特徴だけではなく、さまざまなことを決定づけていることが分かりました。
たとえば「やる気が出ない状態」や「リーダー的な性格」、さらには「幸せの感じ方」などの“気分”さえも、遺伝子が決めてしまうのです。
今回は不思議な遺伝子について、ご紹介します。
やる気が出ないのは遺伝子のせい?
ある遺伝子研究では、脳内物質ドーパミンが分泌されないように遺伝子を改変したマウスを作ったところ、なにもしない・まったくやる気のないマウスが誕生しました。このマウスにドーパミンを投与すると、ふつうのマウス同様に行動するそうです。
人間もドーパミンが不足すると、震えが止まらなかったり、頭は冴えているのにまったくやる気が起こらなかったり……また、ドーパミンが多すぎても、幻覚や被害妄想を引き起こすとされています。
このように、生物の「やる気」は、脳内で分泌されるドーパミンによって支配されていて、そのドーパミンの分泌には特定の遺伝子が関わっていることが分かっています。
「どうしてもやる気が出ない……」そんなあなたは、遺伝子のせいかもしれません。
そこで、積極的にドーパミンを分泌させるためには、人に褒められることが効果的。それすら無理という方は、とにかく自分を褒めて、甘やかすこと。
そうすれば、ドーパミンの分泌量も増え、やる気の出にくい遺伝子ともうまく付き合っていけるでしょう。
リーダーシップのある性格も遺伝する!?
「やる気が出ない」とは逆に、リーダーシップがある性格にも遺伝子が関わっていることが分かりました。
これにも前出の脳内物質ドーパミンが深く関わっています。
リーダーの素質として必要な「リスクを負って先導する素質」「新しいことに対する探究心」のある人は、ドーパミンを受容するタンパク質の構造が、普通の人よりもくっつきやすいというのです。
すると、脳内はドーパミンの影響を受けやすい状況なので、恐怖心が薄れ、リーダーシップを発揮することができるのだと言われています。
ただし、この素質があるひとは、危険なスポーツをしたがったり、スピード感を求めたり、ギャンブルやタバコを好む傾向にあると言います。
自分のもっている遺伝子を事前に認識しておけば、うまくリスクと付き合うことができるかもしれませんね。
幸せの感じ方まで遺伝子で決まっていた!
人が楽しさや幸せを感じるのにも、遺伝子が大きな影響を及ぼしています。
「幸福ホルモン」の異名を持つセロトニンという神経伝達物質は、5-HTTという遺伝子によって司られているからです。
セロトニンが多く分泌されている状態だと、「他人との結びつき」を求めたり「幸福感」を抱いたりします。これが少ないと「不安」になったり「うつ病」の原因にもなったりします。
このセロトニンを司るのが5-HTT遺伝子であるならば、幸せと感じやすいか否かも遺伝による部分が多いということです。
残念なことにわたしたちアジア人は他の人種に比べ、この5-HTT遺伝子の働きが弱いそう。
国民一人あたりのGDPは高いのに、日本人の幸福度が低いのは、遺伝の影響が大きいのかもしれませんね。
GDP
しかし悪いことばかりではありません。セロトニンの分泌が少ないと「慎重な性格」になることも分かっています。きっとこの遺伝子が、几帳面で思慮深い日本人らしさを作っているのではないでしょうか。
遺伝子を知ってうまく利用しよう
近代科学の研究によって、遺伝子のさまざまな秘密が明らかになってきました。
ですが、「遺伝子で決まる」のはすべてではありません。
自分の遺伝子の特徴を知れば、それに対処することもできるし、無駄な労力を避けることもできます。
自分にとって幸せで、生きやすい環境を整えるために、遺伝子の特徴を知るのは面白いことかもしれませんね。
(yummy!編集部)
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公開日:2012年2月24日
更新日:2019年7月26日