今年9月に休刊が決まった月刊誌“新潮45”。7月に「LGBTは子供をつくらない、つまり生産性がない」などの記事を掲載し、批判を集めました。
 
今回は、LGBT(セクシャルマイノリティ)当事者である筆者が、思うことを書いていきます。
 

1.自身と友人を傷つける記事

 
「子供を作らない=生産性がない」とした今回の記事は、LGBTに限らず、独身だったり、子供を持たないヘテロ(異性愛者)の方にも、矛先が向く結果となっています。
筆者には独身の友人が多くいますし、自身がLGBTでなくとも気分の良い記事ではありませんでした。
 
テレビに顔出しで出演され、今回の記事について意見しているLGBT当事者の方々を拝見しましたが、とても勇気のある行動だと感じます。自分や友人のアイデンティティーに関わる問題です、傷ついていない訳がありません。それでも意見を伝えようとする姿に、尊敬を覚えています。
 

2.背景にあるのは2つの迫害の歴史

 
セクシャリティは、アイデンティティーです。趣味や病気ではありませんし、自分や他人の意思で変更できません。しかし一昔前までは、その事実は常識ではありませんでした。
ヘテロのみが普通とされ、その他のセクシャリティを持つ人は、“自身にうそをつきヘテロとして生きていく”か、“自身にうそをつかず迫害される”か、“死ぬ”しかない現実がありました。
 
またLGBTだけでなく、当時は“結婚して初めて人として一人前”で、“女性は家庭に入り多く子供を生み”、“男性は亭主関白でよく働くこと”が、普通とされていました。
ヘテロであったとしても、それをできない人は偏見の目を受け、迫害されていたことも事実です。
 
今となっては時代遅れですが、「LGBTは趣味・病気」「結婚し子供を持たないと一人前ではない」この2つが、常識だった時代があるんです。
今回の記事は、その旧態依然とした考え方を元に書かれています。「子供を持つことは当たり前のことで、それができなければ生産性がない」このような意見を持っている人が今でもいることを、くしくも証明していますね。
 
しかし変わり始めた社会は、今回の記事と出版社を許しませんでした。
 

3.変わりつつある社会の常識

 
問題の雑誌が発売されてから「新潮社の書籍を扱わない、私たちは怒っている」と表明した書店がありました。筆者はとてもうれしく感じました。書籍を扱わないという手段にではなく、怒っていることを表明してくれた事に対してです。
 
書店だけでなく、SNSなどでも多くの方が、今回の記事を良しとしませんでした。ここまで大きな民意がNOを示した事に、変わりつつある社会の常識を感じます。
 

4.発言の自由とは

 
「全ての意見は発言の自由に守られているので、どんな主張をしてもいい」という考え方がありますが、憲法にある“発言の自由”は、個人の名誉を毀損(きそん)し、迫害してもいいという保証ではありません。同時に、個人の名誉も“幸福追求の権利”に守られています。
 
今まで“幸福追求の権利”を迫害により失っていた人々が、社会の変化により守られるようになってきた。迫害を良しとしない社会になってきた。とてもうれしい事ですね。
 
間違っていると思えば「間違っている」と言う。簡単なようでとても難しいことです。しかしその勇気が、よりよい社会を作り上げる一歩になることは明確です。
 

おわりに

 
「セクシャリティはアイデンティティー」「結婚や子育ては義務ではない」。現代では常識になりつつあることも、一昔前はそうではありませんでした。
今では時代遅れとなった考え方を、そうとは知らずに差別的主張をしてしまう。それもある意味、かわいそうなことなのかもしれません。
 
現代は、ジェンダー観を含む多くの価値観が、急激に変化しつつある時代です。
変わりつつある社会の常識の中で、ひとりひとりがどう考えていくか。それは法律にも関わる、とても重要な話です。
 
(西繭香/ライター)
 
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photo by. https://unsplash.com/
 
参考資料:
https://www.fuhyotaisaku.com/law-right/expression-freedom-defamation.html
https://www.shinchosha.co.jp/sp/shincho45/

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