夢見ていた結婚生活。
愛する人との間に子どもまで……なんて幸福なんだろう。
 
そう思っていたのはほんの一瞬のことで、退院したらすぐに始まる「ワンオペ育児」は嵐のような毎日。
さらに仕事まで抱えるとなると、出口のない部屋に閉じ込められたも同然。
 
そんなとき、救ってくれたのは……。
これは、ある女性の経験談です。
 

想像していなかったワンオペ育児の状況

 

夫は出張の多いコンサル職です。
 
バリバリ働いてくれているものの、少々見栄っ張りな夫は若くしてマンションを購入。
 
それが、収入を度外視したちょっと無理のあるお買い物で、毎月ローンやら管理費、修繕積立金の支払いでいっぱいいっぱい。
 
専業主婦を夢見ていた私は、無理のない範囲でできるパートをしながらのワンオペ育児に追われていました。
 
パートが単純作業系なので会話もなく、ふと気がついたら、買い物でレジの人と話した以外、1週間誰とも会話していなかった……なんてこともある日々。
子どもはかわいいけれど。
 
大人とも会話してないと、なんだか世間から取り残されているかのような気分になります。
 

これが現実。育児と自分の生活をてんびんにかけて

 

言葉の通じない子どもを常に相手にしていると、じわじわとストレスが溜まるもので、ついつい怒ってしまうこともしばしば。
 
私に怒られて、泣きつかれて寝ている息子を見て後悔する……そんな毎日に嫌気が差していました。
 
息子だって、ママには笑っていてほしいでしょう。
しかし、買い物に出かけたときに見かける子連れのような余裕が自分にはなく、不甲斐ない気持ちでいっぱいでした。
 
かと言って保育園に預けている時間を延長するほどの余裕は我が家にはありませんし、ママ友サークルみたいな活動も、ちょっと離れた場所まで行かなくてはならず。
 
なかなかこの状況を打開できないまま、時間ばかりが過ぎていきました。

偶然の出会いに涙が浮かぶ

 

ある日、天気も息子の機嫌もよかったので、久しぶりに公園へ。
息子を遊ばせていると、1、2歳上くらいの女の子を連れたママがあとから来ました。
 
軽くあいさつをして、しばらくはそれぞれ子どもを遊ばせていたのですが、ふいに女の子のお母さんから声をかけられました。
 
「息子さん、すべり台が大好きなんですね。すごく楽しそうににこーって笑って、こっちまで笑顔になります」
 
こんな風に声をかけてもらったのは初めてです。
 
でも、子どもを褒められたということは、自分の子育てを評価してもらえたも同然。
ありがとうございます、と答えながら、ちょっとうるっときてしまいました。
 
「うちなんか私がしょっちゅう怒ってるから、怒った顔ばかり一丁前になっちゃって……やっと笑うようになったんです」
 
「全然そう見えないですよ、髪をまとめてるリボンもかわいいですね」
 
そのあと少しだけ話をしたあと、お昼の時間なのでバイバイしました。

大切なことに気づくきっかけがそこにはあった!

 

年代の近いママと会話できただけでも気持ちが軽くなるのがわかりました。
 
こんなに、誰かと話したかったんだ。
 
しみじみと思いながら、ワンオペ育児に戻っていきました。
 
でも、また真っ暗な毎日なんだ。
 
そう思っていた私は、意外な場所でこの日お話ししたママと再会することになるのですが……この話は後編で。
 
(廣瀬伶/ライター)
 
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