日本固有のポエムである和歌。上品で奥ゆかしく…というイメージがある方も多いでしょう。
ところがどっこい、じっくり見てみると、エロい!甘い!エモい!と感じる、和歌もたくさんあるんです。今回は、エロさを感じる和歌をご紹介していきます。
「エロい和歌」1 濡れてしまいました
ひとつめの和歌は、飛鳥時代の皇族である、大津皇子(おおつのみこ)が作ったものです。
あしひきの 山のしづくに 妹待つと
我立ち濡れぬ 山のしづくに
意味:あなたを待っている間に、山の雫に濡れてしまいました。
思い人を待っている時間の期待感がすごくエロチックに表現されている和歌ですね。
「エロい和歌」2 夢の中でもあなたに会いたい
ふたつ目の和歌は、平安時代前期の女流歌人・小野小町のものです。
思いつつ 寝ればや人の 見えつらむ
夢と知りせば さめざらましを
意味:恋しいあの人のことを思いながら寝たから、あの人が夢に現れたのかも。夢だと分かっていたら、そのまま目覚めなかったと思う。
夢の中で会えて、そのまま目覚めたくないと思うなんて、どんな幸せな夢だったんだろう、という想像力を掻き立てられる和歌ですね。
「エロい和歌」3 いつまで愛される?
3つ目の和歌は、平安時代後期の歌人である待賢門院堀河(たいけんもんいんのほりかわ)のものです。
ながからむ 心も知らず 黒髪の
乱れてけさは ものをこそ思へ
意味:あなたの愛情が、どこまで続くかは分からないけれど、乱れたこの黒髪のように、心も乱れている今朝、私は物思いに沈んでいます。
好きな人と一晩を過ごし、翌日に余韻に浸りながら、思い人の愛情の深さに期待と不安を抱いている、恋する女性の気持ちが鮮やかに歌われています。
「エロい和歌」4 セックス したい!
次の和歌は、平安時代の公家であり歌人でもある藤原朝忠(ふじわらのあさただ)によって詠まれたものです。
逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに
人をも身をも 恨みざらまし
意味:もしも、逢うことが絶対にないのなら、かえってあの人のつれなさも、我が身の辛い運命も、恨むことはないのに。
ここでいう「逢う」は単に「会う」ことを意味していません。平安時代、高貴な女性は、直接男性と話すことがありませんでした。一対一で会うということはつまり、深い仲になるということ、つまりセックスするということなのです。つまり、この歌は、頻繁にはセックスできない、でもしたい、たまにできるもんだから、よけいフラストレーションがたまる。もっと逢いたいのに!というストレートに性愛について読んだ歌だ、と解釈することもできるのです。
「エロい和歌」5 セックス したら好きになっちゃった!
最後は、琵琶の名手としても知られていた権中納言敦忠(ごんちゅうなごんあつただ)の和歌をご紹介します。
逢ひ見ての のちの心に くらぶれば
昔はものを 思はざりけり
意味:恋しい人と、ついに逢瀬を遂げてみた後の、恋しい気持ちに比べたら、昔の想いなど、なきに等しいほどのものだったなあ。
「逢ひ見ての」は、セックス した、という意味です。つまり、気になっていた人とセックス したら、すごいよかった!これまでで一番良かった!という歌なんです。
さいごに
今回は、エロチックな和歌をご紹介させていただきました。これを機会に和歌に親しんでいただければ幸いです。
(今来 今/ライター)
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