財務省に直談判したヤマト運輸が超カッコイイ!

 by 蛇内フィヨルド



3.11の大震災以降、被災地で救援物資の配送を行ったヤマト運輸。

そんなヤマト運輸がさらなる被災地支援で話題となっています。

企業の寄付金としては最高額になる130億円を、財務省との交渉の末、非課税で被災地に送るというのです。

困難と言われた課税問題を、見事に解決したヤマト運輸。
その行動には被災地を復興するために、私たちが今すべきことが示されています。

震災直後の混乱…滞る救援物資

震災以降、被災地に向けて、世界中から救援物資、義援金、ボランティアなどの支援がありました。

これらのたくさんの支援が、被災地復旧に大きく貢献していることは間違いありません。

けれども、その支援を必要としている人に届けるためには、私たちの予想以上に多くの困難があったようです。

救援物資の多くは、被災地の自治体に届き、そこから被災者の手に渡ります。
しかし今回の震災では、多くの方が被災し、物資の量も膨大なものとなったため、その管理だけでも大変な労力が必要でした。

保管場所では、届いたものからどんどん奥に積み重ねられてしまうため、必要なものが必要なときに取り出せないといった事態も発生していました。

当然のことながら、自治体には物資を効率良く管理するノウハウもありません。
職員の方々が徹夜で救援物資の整理を行なう自治体もあったようです。

また、情報網が絶たれたことで、自治体が被災状況を正確に把握することも難しい状態。

ガソリンなどの燃料も限られていて、避難所へ物資を配送することもままならない日々が続きました。

決して十分ではない食料や衣料品、医療品などを有効に役立てるには、圧倒的に情報と機動力が不足していたのです。

運送会社同士が会社を越えてのチームプレー

この問題を改善するために活躍したのが、物資管理、保管、配送のプロである民間の運送会社でした。

ヤマト運輸や佐川急便、日本通運などの大手運送会社が、自衛隊とともに被災地での救援物資の仕分け、保管、配送にあたったのです。

これによって、自治体は避難所の状況や、どこにどんな物資が必要かといった情報を集めることに力を入れることができます。

震災後の早い段階で、この協力体制が生まれたことで、救援物資を活かした被災者支援が可能となりました。

また、大型トラックでの輸送を得意とする運送会社は全国から被災地の物資管理拠点までの運送を担当し、小型トラックでの宅配を得意とする運送会社が各避難所への配送を担当するなど、運送会社間でも適材適所で役割を分担しました。

運送会社各社はまさに“オール日本”となって、被災地復旧へ貢献したのです。

「知恵がある奴は知恵を出そう。力がある奴は力を出そう。金がある奴は金を出そう。「自分には何も出せないよ」っていう奴は元気出せ」

シンガーソングライターの松山千春さんが、震災後に出演したラジオで言ったコメントです。

助け合いとは、“自分にできること”を、それぞれがしっかりやること。

運送会社は、まさに他の人にはできない“自分にできること”で被災地を支援したのです。

全額寄付したいから税金免除してくれ!?

そんな運送会社のひとつ、ヤマト運輸のさらなる被災地支援が話題となっています。

ヤマト運輸は被災地支援の取り組みとして、今年度の“宅急便1個につき10円”の寄付を決定。

年間の配達個数から計算すると、約130億円になり、企業の寄付金としては最高額になると見られています。

しかし、日本の税法では企業の寄付金は課税の対象になるため、130億円のうちの数十億円は税金として納付する必要があります。

「寄付金なのにどうして?」
と思ってしまいますが、企業の税金逃れなどに寄付金が利用されることのないよう、課税が定められているのです。

今回のケースについても、当初、財務省は、
「ヤマトの志は理解するが、一企業のために税法というルールを壊すことはできない」
として、130億円の寄付金を課税対象としました。

ヤマト運輸のすごいところは、この後の行動力。

「130億円はすべて被災地に寄付したい」
という強い想いを実現させるために、財務省と徹底的に交渉を行なったのです。

その交渉の中で、寄付金の運用が適切に行なわれているかを監視する第三者機関を設置するなどの対応を検討しました。

国と民間の一ヵ月半に及ぶ協議の末、財務省は寄付金を全額非課税となる「指定寄付金」に認定しました。

ヤマト運輸の強い想いとそれを実現させるための徹底した行動が、現実的に困難だと思われていた課税問題を解決させたのです。

まずは“自分にできること”から

今回の震災によって、自分も何かしたい、何かできることはないか、と考えた方も多いかと思います。

自分にできることをしっかりやる。
想いを形にするために、徹底的に行動する。

一人ひとりがそう心に決めて行動することが、日本の復興に繋がるのではないでしょうか?

Written by 蛇内フィヨルド
Photo by jonno23 (Jonathan Wade)